里仁舎 都市の木質化

南太秦のバス停

南太秦

京都市交通局と京都大学生存圏研究所は、2013年よりバスの駅の木質化の実現に向け研究を行い、まず最初に『南太秦』のバス停留所上家を、京都の木「北山丸太」を利用して設計しました。
設計にあたり、北山丸太の利用促進のための柱頭・柱脚金物を新たに開発し、木質材料実験棟で実大試験を実施することにより性能を確認するとともに、それをもとに構造設計を行いました。

京都・南太秦のバス停 京都・南太秦のバス停

この接合の特徴は、
①劣化等による将来の交換を可能とする接合とすること(上家は外部であり雨水に濡れるため)。
②接合が意匠上に支障がないこと。
③十分な強度・剛性を有することです。

これら以外に、構造的には外周部に一部に貫を通すことにより剛性を上げ、貫と柱とを締め付ける楔に、スギの圧縮楔を用いました。通常、楔は収縮等により隙から将来的に弛む可能性が強いのですが、スギ圧縮楔はこの隙に対し、自らが自然膨張することにより性能を担保してくれます。
デザインは、伝統的な意匠をベースにバスを待ちあう人々が北山丸太の感触を楽しめるような独立柱案としました。

京都・南太秦のバス停のオープニングセレモニー

オープンニングセレモニー
(左から2人目門川京都市長、5人目京都大学生存圏研究所五十田教授)

京都・南太秦のバス停
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南太秦バス停 設計:里仁舎
構造担当:京都大学生存圏研究所 北守顕久

清水道

つづいては、京都市東山区の『清水道』のバス停の道の駅です。このバス停は清水寺や高台寺を訪れる観光客が乗り降りするバス停であり、デザインについては、多くの案を作成しました。最終的に、土地の奥行が限られていることから、社寺に多くみられる深い軒下を表現し、東山界隈の町並みにマッチした趣のある建屋をイメージした案を採用しました。

京都・清水道バス停 京都・清水道バス停

構造的には、京都のスギでCLT(クロスラミネイティドティンバー・直交集成板)の巨大な壁面を作り、京都大学生存圏研究所の前教授であった小松幸平先生の開発したLSB(ラグスクリューボルト)を用い、基礎と接合させることにより、あたかも超大型の背もたれ壁のような傾斜した耐力構面を作りました。そして、その構面に貫通穴を設け、和をイメージする庇を持ち出しました。また、CLTが京都でお目見えするのはこれが初めての構造物となります。
CLTと基礎は、水掛りがあっても大丈夫なように、基礎と直接接触させない工法としました。


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清水道バス停 設計:Sho建築設計事務所
構造担当:京都大学生存圏研究所 北守顕久